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 「何とかなるさ!」で大学を卒業した私は、まともに就職できていませんでした。仕方なく大学時代から続けていたスキーで冬の仕事を作るのですが、夏の仕事がありませんでした。何故まともに就職できていないのかは、飲んだくれていた大学3~4年の時期に原因があります。
 実は体育の教員になることを夢見て大学に入ったのですが、教員になる為には二つのハードルがあります。ひとつは教職課程の単位を取ること、もうひとつは教員採用試験に合格するという事ですが、以前にお話ししたように、毎晩明け方まで飲み歩いて大学の後半は殆んど学校に行かなかった私です。教職課程の単位もまともに取れていないのですから教員採用試験など、はなから受かる土台ができていません。
 それでも「何とか体育の先生になりたい!」と受験するのですが、お察しの通り受かるはずもありません。不合格の通知を受けた時に頭に浮かんだのは「俺の論文を正当に評価できない採点者が悪い!」「問題の作り方が悪い!」などなど、落ちたショックとそれを受け止められないための怒りでした。思い通りに物事が運ばないと周りのせいにして自分の問題点と向き合わない、いかにもアル中的思考です。
その晩怒りを晴らすためにいつもの居酒屋へ愚痴をぶちまけに行ったことは言うまでもありません。憂さ晴らしはやはりお酒でした。

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