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そんな暮らしをしていましたから当然生活は苦しく、女房は持病を持っているのに子供がまだ小さいからと夜間ファミレスのパートで働いてくれていました。一方私は「子供の面倒は俺が見る」と言いながら隠し持っていた酒を女房が居ないうちにと飲んでいました。時には1時間でパートの時給以上の酒を飲んでいたと思います。そんなことを繰り返すうち、借金で生活が行き詰まりどうにもならなくなりました。その時助けてくれたのが叔父でした。

子供の頃から片親で育った私に、共に子供のいない伯母や叔父はとても良くしてくれました。父はよく伯母や叔父にお金を借りていたように思います。父の実の姉と弟なので姉弟とはそういうものなのだと一人っ子の私は思っており、私も父同様伯母や叔父にお金を借りたことがありました。
父が亡くなる数年前には生活も身体もひどくなり何回か入院をしました。その時もまだ独身の私はいいかげんに生きていてお金もなく、入院費等を伯母に頼りました。支払いは伯母がやっていてくれていたのですが、一回入院費を預かった時に私はそのお金を飲んで使ったことがあり、それ以来二度とお金を預かることはなくなりました。
父が亡くなった時の病院代、葬儀の費用は伯母や叔父が負担してくれました。私は23歳の名ばかりの喪主をつとめました。伯母は新橋で小さい飲み屋をやっていました。私が一人になってからはよく「親父の代わりに来たよ」と言ってはタダ同然で飲ませてもらっていました。そんな伯母、叔父にも私は恩を仇で返すようなことをしていました。

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