人生変えるんだと張り切って退院したのですが、軽い気持ちで買った缶ビールが引きがねとなり、アパートでは段ボールを机代わりにして飲むことしかできませんでした。酔っぱらっているからテレビもつなぐことが出来ず、酒の空き缶を灰皿にし、CDラジカセでラジオを聞きながらCDが散らばっている段ボールの間のわずかなスペースで飲み続けました。当然風呂にも入らず外に行くのは酒を買いに行く時だけでした。何回目かの酒を買いに出た時には昔から住んでいる区で土地勘はあるのに自分のアパートが分からず、迷ったこともありました。それ程酔っていたのだと思います。
連続飲酒が二週間位続いた夜、風呂に入っていないので下着が汚れていて気持ち悪かったのか下着を着けずそのまま短パンを履き酒を買いに出ました。片手に缶チューハイが5、6本入ったレジ袋を下げ、帰り途中に段差でつまずきひっくり返りました。場所は覚えていませんが、アパートの近くだったと思います。道路に大の字になりどうでもいいやと夜空を見ていました。「おじさん大丈夫?」と大きな声がして見ると若いカップルでした。当時37歳でしたので「おじさんはやめろよ」と寝たまま弱々しい声で答えると、女性の方が「頭から血が出てるよ」と頭を触りながら言いました。男性の方が「今救急車を呼ぶからね」と携帯電話で連絡してくれました。自分で頭を触ると血は出ていますが、大したことはなさそうに感じました。転んだ勢いで散らばった缶チューハイを彼女がビニール袋に集めてくれましたが、救急車の音が聞こえてくる頃にはそこから1本取り出しふたを開け飲もうとして「ダメだよ!」と二人に取り上げられました。彼氏に「これは俺が飲むから」と言われ、私は弱く笑いながら「全部あげるよ。ありがとね。」と伝え救急車で運ばれました。
軽く頭を切っただけなので緊急外来で処置をされ帰ることになりました。119番通報だったからか、帰りはパトカーで送ってくれることになりました。病院も同じ区でアパートからも遠くはなかったのですが、やはり右だ左だと言って自分のアパートがわかりません。警察もこのままでは仕方がないから警察署の保護室で休んで酒が抜けたらまた送ると言ってくれました。私も仕方がないと思いましたが保護室とは名ばかりで檻があるちゃんとした牢屋でした。しかもコンビニ強盗で留置されていた警察署でした。