アルコール依存症と言われて

「アルコール依存症ですね。」医者からそう言われても驚きはしませんでした。
精神病院のアルコール病棟での診察だからというわけではなく自分自身のことを考えれば「そうだろうな。」というのが正直な感想でした。父も酒癖が悪く、私もその父のようになってきたと感じていたからだと思います。
幼い頃に両親が離婚をし、幼少期は父親と祖母に育てられましたが、6歳の時に祖母が亡くなってからは父と二人で暮らしてきました。10代から酒を飲み始め、最初は度が過ぎたら吐く程度でしたが、20代の頃には記憶が無くなり翌日不安の一日を過ごすという事が多くなり、明らかに酒で生き方がおかしくなっていました。
父が50歳で亡くなり1人になった後は私も父のように50歳くらいで死ぬのかなと感じていました。飲み方も段々ひどくなり、転んだり殴られたり顔に傷がつくような事が出てきた頃、子供が先に出来て、結婚しました。これからはしっかりと働いて酒も飲み過ぎない様に生活し、私は父の様にはならないと強く思っていました。
しかし強い意志とは裏腹に結婚しても酒の飲み方だけは変わらず、飲み過ぎては仕事を休み、大きいお腹の女房を不安にさせていました。反省はするものの時間だけが過ぎ、初めての子供が産まれる日が来ました。私は産婦人科に行き子供の顔を見てこれからはもっと頑張ろうと誓ったものの、その数時間後には警察の保護施設通称「トラ箱」にいました。

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