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前述したように何度も緊急搬送してもらう中で精神病院のアルコール病棟の紹介状をもらって通院していました。「アルコール依存症」といわれたのもこの時でした。抗酒剤を処方された時は飲まないで普通の生活が送れそうに思えたのですが、「やってはいけませんよ」と言われたのに抗酒剤を飲んでいるのに我慢が出来ず酒を飲んだら、動悸がすごく顔は血管が切れるんじゃないかと思うほど赤くなり、息も苦しくなって処方されていた睡眠導入剤を飲んで転がるように寝たこともありました。ほどなくして抗酒剤の方をやめて酒を飲むようになり、また変わりがない酒中心の生活になっていたところで入院となりました。
生まれて初めての入院が精神病院のアルコール病棟になりました。緊急搬送からアルコール病棟に通院歴があったので、そのまま救急車で精神病院に運んでもらい入院になりました。カーテンで仕切られていてよくわからなかったのですが、最初は四人部屋くらいの部屋だったと思います。ベッドで寝ているのですが、体が思うように動かせず、眠れずに天井を見ていると幻覚で天井の模様が動いて見えるのでそれをボーと眺めていました。喉が渇いているのですが、動けないし、お金も持っていないので、同じ部屋の人が帰って来た気配がした時に「すいませんが、飲み物を買ってきてもらえますか。体が動かないのでお願いします。お金は後で払いますので。」と絞り出す声でお願いしたらジュースを買ってきてくれました。震える手でなんとかジュースを飲もうとするのですが、ほとんど飲めずに口の横からこぼしていました。その時「何やっているんですか!」と看護婦さんが入ってきてジュースを取り上げられました。「水分は取ったらダメです!」と叱られました。しばらくすると部屋が変わりました。狭い部屋にベッドが一つしかなく手足を拘束されました。後から知りましたが閉鎖病棟の拘束室でした。拘束室が空いていないので解放病棟の病室に寝かされていたそうです。また酒がらみで拘束され動いて見える天井しか見ることしかできませんでした。

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