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一人になって最初は前向きに生きていこうと思い、酒もコントロールして仕事も頑張って、離れていてもちゃんとした父親でいようと子供と会える時はしらふでと決め、最初はちゃんと暮らしていたつもりだったのですが、段々と酒のコントロールが効かなくなり二日酔いで仕事を休むことが多くなりました。
飲んだ翌日は朝起きると辛く「今日は一日休んで酒を抜くぞ」と思うのですが、一時間もすると冷や汗が出て手が震えるようになり、身体と気持ちを抑える為にまた酒を飲む、という悪循環になることも多くなりました。そんなことは別れた女房には言えるはずもなく、子供に会える時はなんとかしらふで会い、仕事も順調だと言い、今の本当の状況を伝えることは出来ませんでした。唯一の楽しみだと思っていた子供と会える日も、二日酔いだったり酒を飲んでしまったりで、約束の日にはお決まりの「風邪みたいで調子が悪い」という手を使い、会えない日もありました。
やはり変わっていないと思わせるのに決定的だったのが子供の運動会の日。別れた女房が気を利かせてくれて自分の両親は呼ばずに私を呼んでくれたのですが、やはり飲み続けていた私は運動会当日はひどい状態でよろよろと運動会場に向かったものの道端に倒れこみそうになるほど具合が悪くなり、別れた女房にはお決まりの言い訳を携帯電話で伝え、帰り道に酒を買いアパートにこもって自分の不甲斐なさをつまみに飲み続けました。一番大事なのは子供だと思っていましたが、それ以上に酒が私の中で一番になっていたということにこの時は気が付きませんでした。

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