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2年前にに開催されたラグビーワールドカップの会場となった競技場は観客席は撤去されましたがグラウンドを中心として広い駐車場もあり、ラグビーの盛んな釜石を象徴する競技場になっていました。ちょうど山々の木々が赤く色づく季節になりラグビー場の緑が目に鮮やかでした。

釜石のラグビー場

周辺の当時の様子

住居を訪れた際、必ずと言っていいほど食事をした喜楽というラーメン屋さんがありました。当時は仮設の店舗で営業していましたが、整備された、鵜住居駅からほど近い国道沿いに新しい店舗で営業をしていました。名前ははっきりと憶えていたわけではないのですが、ご主人が大切にしているバイクをその店先に発見してそのお店だとわかりました。
ちょうどお昼時でもあり店に入ると、迎えてくれた店主の奥様だと思う方が、「お久しぶりです、お元気でしたか」と声をかけてくれました。びっくりして「覚えてるんですか?」と聞いたら「もちろん」と返ってきました。当時からすごい美人で強く印象に残っていたので余計に感無量になり言葉も出ませんでした。
結構繁盛しているお店のようでほかのお客さんがいなければ記念の写真でもと思ったのですが、言い出せず残念でした。
今回の南三陸から釜石への旅は当時お世話になった方々、出会ったすべての人を思い起こすきっかけになりました。

あの時、ありえないところに船が打ち上げられ、ガタガタになって寸断された道路脇には、積み上げられた瓦礫・形をとどめない車の山・朽ち果てた建物にはカーテンや毛布が絡みつきといった光景が延々と続き絶望的な気分になり呆然としていました。
10年という歳月は私が思っていた以上の復興の道のりを歩んできた現場にきて、改めて時の持つ力の大きさを感じました。
もう少しゆっくり時間をとって訪れてみたいと思いました。
また機会があれば、花巻病院や釜石の地域支援センターなども回ってみたいと思います。(終わり)